原発性アルドステロン症
原発性アルドステロン症(Primary Aldosteronism)は、副腎(ふくじん)という臓器からアルドステロンというホルモンが過剰に分泌されることによって起こる高血圧の病気です。
この病気は、高血圧の原因がはっきりしている「二次性高血圧」の一つで、若年発症や薬が効きにくい高血圧の方に多く見られます。
適切な診断と治療により、薬が減る・血圧が安定する・根治が見込める場合もあるため、見逃してはいけない重要な病気です。
当院では、内分泌疾患に精通した専門医が、ホルモン検査や画像診断を組み合わせた精密な評価を行い、必要に応じて専門病院と連携しながら治療を進めています。
原発性アルドステロン症の症状について
この病気の特徴は、「高血圧」と「低カリウム血症」です。
ただし、初期には症状が出ないことも多く、次のような症状が現れることで気づかれることがあります。
-
高血圧(特に若年発症や、複数の薬でも下がりにくい場合)
-
倦怠感・だるさ
-
筋力の低下・こむら返り(カリウムが低下している場合)
-
頭痛・動悸・頻尿
また、脳卒中や心不全、腎機能障害などのリスクが高まりやすいため、早期の発見と治療が大切です。
原発性アルドステロン症の原因について
この病気は、副腎から分泌される「アルドステロン」というホルモンの異常によって起こります。
アルドステロンは、体内の塩分と水分のバランスを調整するホルモンで、腎臓でのナトリウムの再吸収を促進し、血圧を上げる作用があります。
以下の2つの原因に大きく分かれます。
1. 片側性副腎腺腫(アルドステロン産生腺腫)
-
片方の副腎に良性の腫瘍ができてアルドステロンを過剰に分泌
-
外科的手術で根治する可能性があります
2. 両側性副腎過形成
-
両側の副腎が少しずつ過剰にホルモンを出す
-
手術は適応にならず、内服治療が中心となります
原発性アルドステロン症の診断と検査
当院では、必要に応じて以下のような検査を段階的に行い、病気の有無とタイプを診断します。
1. スクリーニング検査(血液検査)
-
アルドステロン/レニン比(ARR):高い場合に疑います
-
血中カリウム値
2. 確定診断検査(負荷試験)
-
カプトプリル試験、食塩負荷試験など
-
専門施設と連携して行うこともあります
3. 画像検査
-
副腎CTスキャン:腺腫(できもの)があるかどうかを確認します
4. 副腎静脈サンプリング(AVS)
-
片側性か両側性かを判断する精密検査(専門施設で実施)
早期発見によって、「高血圧が治る可能性がある」という数少ない疾患のひとつでもあります。
原発性アルドステロン症の治療法について
原因のタイプによって治療方針が異なります。
1. 片側性副腎腺腫の場合(手術が可能)
-
腫瘍を取り除く副腎摘出手術を行います
-
手術後に血圧やカリウムが正常化する可能性が高いです
※手術の可否は総合的に判断し、必要に応じて提携病院へご紹介いたします。
2. 両側性副腎過形成の場合(内科的治療)
-
アルドステロン拮抗薬(スピロノラクトン、エプレレノンなど)による内服治療
-
血圧やカリウムをモニタリングしながら、長期的にコントロールします
3. 生活習慣の見直しも重要
-
減塩(1日6g未満)
-
適度な運動
-
禁煙・節酒
-
睡眠とストレスの調整
当院では、内服調整だけでなく、日常生活のアドバイスも丁寧に行っています。
原発性アルドステロン症についてのよくある質問
Q1. 高血圧と診断されたら、必ず検査を受けた方がいいですか?
A1. 特に若年発症(40歳以下)や、3剤以上の降圧薬が必要な方、低カリウム血症のある方は検査をおすすめします。
Q2. この病気は治るんですか?
A2. 片側性で腫瘍がある場合は、手術によって完治が期待できます。両側性の場合も薬でしっかり管理できます。
Q3. 検査や治療は大がかりですか?
A3. 血液検査や画像検査は当院で可能です。高度な検査や手術が必要な場合は、信頼できる医療機関をご紹介します。
Q4. 痛みや不快感はありますか?
A4. 症状がないことが多いため、健診や治療中の血圧変化などから気づかれるケースが多いです。
院長より
「ずっと高血圧で薬が効きにくい」「若い頃から血圧が高い」といった患者さんの中に、原発性アルドステロン症が潜んでいることがあります。
当院では、糖尿病や甲状腺疾患に加えて、ホルモンの異常による高血圧も専門的に診療しています。
早期発見と適切な治療で、血圧が安定したり、薬を減らせたりする可能性もあります。
もし「自分の高血圧はなぜか薬が効かない」と感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。
